ナチュラルワインの魅力を熱く、でもロジカルにクールに語る〈Paradise Nature〉店長の馬場さん。
かつては完全予約制・紹介制のクラシックなフレンチで腕を振るった料理人。さぞかし昔からワイン通だったのだろうと思いきや、意外なことに「昔はそんなにワインが好きじゃなかった」のだとか。
そんな彼がなぜ今では、深くナチュラルワインを愛し、その伝道師としてお店に立つのか。
馬場さんにとっての「愛」とは、一体どんな形をしているのでしょうか。
概念を覆したナチュラルワインの衝撃

かつては、ワインは料理を引き立たせてくれるもの、とあくまで料理が主役だと考えていた馬場さん。常に身近にあったものの、心は動きませんでした。
そんな馬場さんの価値観が、180度ひっくり返る出来事が。それは以前研修生として通っていた際に出会ったシェフの、友人宅で出会った一本のワインです。
それは、オーストラリアの生産者・MOMENTO MORI WINESの『FISTFUL OF FLOWERS』。
「今まで飲んでたワインって何だったんだ?と思うほどの衝撃でした。」と馬場さん。
厳格なルールを守るクラシックなワインとは違い、生産者の哲学や、その年のブドウの状態を素直に表現する自由なあり方。自然に逆らうのではなく、ありのままの生産者の人生そのものが詰まっているような、一本一本の物語性。
知れば知るほどナチュラルワインに魅せられ、一気にナチュラルワインの世界へのめり込んでいきました。
あの日の衝撃こそが、今の仕事への愛の源泉なのです。
愛は、一人じゃ完結しない

「自分が好きだと思っているものが人に伝わって、それが共有できること。それ自体が、愛なんだと思います。愛は一人では完結できないもの。」と馬場さんは言います。
美しい景色も音楽も、そしてワインも。一人で抱えていては愛にならない。「これ、いいよね」と分かち合い、想いが通じ合って初めて愛が生まれる。
「人と人における愛においてもそうですよね」という馬場さんの言葉が、とても心地よく胸に響きました。
そんな馬場さんは、実はDJの顔も持ちます。
フロアの空気を読んで、自分が最高だと思う曲を共有する、というスタンスは、ワイン選びも全く同じなのです。
「かつては『シェフの正解』を再現するのが仕事でした。でも今は、僕自身が心から震えたものを共有できる」 だからこそ、Paradise Natureではまずスタッフ自身が楽しむことがルール。作り手が楽しんでいるからこそ、その「好き」のバイブスがお客さんに伝播し、人が集まってくるのです。
「愛は一人では完結できないもの」
かつてワインが苦手だった料理人が見つけた、新しい愛の形。 オンラインとオフラインの両輪で、今日も馬場さんは愛を届けます。