お茶も発酵食品だ、と言われることがあります。
お茶の水分を抜いたり、茶葉を揉み茶葉に傷をつけることで細胞が崩れたりすることで、酵素とポリフェノールなどがぶつかり合う機会を得て、それが結果的にお茶の味わいを変えるから(お茶の発酵と呼ばれる所以)。
でも冷静に考えてみると、それって単なる酸化であって、生物的な反応が絡んでいない(お茶も生きていると言われると急に話は難しくなります)ので発酵というより酵素反応しているだけなのでしょうか。
本題は、その酵素反応による味わいの違いがお茶にどう出るのか?という話。
台湾茶の中でも有名な凍頂烏龍茶がどうしてあの香りになるのか、を萎凋という技術と地理的な側面から考えてみたいと思います。
萎凋/Witheringとは
日本〉摘んだ茶葉をしおれさせて水分を減らし、酵素による微発酵を促す製茶工程
英語〉The controlled process of reducing moisture in freshly plucked tea leaves, making them flaccid and pliable, and allowing biochemical changes that enhance aroma and flavor
辞書で調べるとこのよう定義。
やはり微発酵という言葉が出てきてしまいますが、英語だとbiochemical change/生化学的変化という感じ。言葉って難しい。
茶葉の中にはカテキンなどが総称される「ポリフェノール」と、ある物質に変化するきっかけを与える「酵素」と呼ばれるものがあり、それぞれ異なる部屋にいるようです。
普段は交わることのない両者を、萎凋や揉捻という技術が結びつけているのですね。
どうして萎凋が酵素反応を進めるきっかけ作りとなるのか
摘みたての茶葉はみずみずしい。それを乾燥させることにより、徐々に細胞膜内部から水分が抜け出し、細胞膜の機能性が弱まるそうです。密閉された水の入ったポリタンクから急激に水を抜いたら、ベコって凹んじゃう感じ。
それによって細胞膜内部のポリフェノールなどが漏れ出ちゃいます。ただ、揉捻のように外的に細胞を壊すわけではないのでその反応は非常に遅く、静的反応とすら呼ばれます。
このゆるやかな反応ですら、どのように乾かすか、どのような温度帯で乾かすかによって最終的な味わいに変化が起きるのでお茶というのは魅力的ですね。
凍頂烏龍茶はどのように作るのか
さて本題。
僕達を惑わし続ける魅惑の凍頂烏龍茶はどのようにしてこのような香りがでるのでしょうか。萎凋という部分に絞って見ていきたいと思います。他の部分でも面白いところがたくさんあったのですが、まずは地域×萎凋というテーマで。
次回はこの続きから。