「ミードは甘いから寒いときに飲むお酒なのかな?」
と聞かれることがたくさんあります。
確かに蜂蜜の甘さや、温めても楽しめるというイメージから、なんとなく「秋冬の飲み物」と思われるのも無理ありません。
〈そんなことないですよー!!〉
40℃以上の醸造所では毎日のテイスティングや実験を通しながら、夏でもミードが楽しめることを実証してきました。
前回の記事では、自分たちの楽しみ方や名古屋のCISCOさんでの提供例についてご紹介しました。たくさんの方にお読みいただき、「早速試しました!」という嬉しい声も届いています。
今回もその固定観念を覆すべく、夏のミードの楽しみ方についてご紹介していきます。
約3年半にわたりANTELOPEのミードを提供してくださっている、ミードと北欧料理の専門店「Once upon a time」の店主・小林裕和さんにご協力いただき、夏ならではのミードの楽しみ方を伺いました。
ミードが大好きな小林さんだからこそのユニークな楽しみかたをご紹介していきます!
常時50種類以上のミードを提供するミード専門店
JR船橋駅から徒歩2分の場所にお店を構える「Once upon a time」。常時50種類以上、コレクションは100種類を超えるという、まさにミードの聖地とも言える場所です。
ビアソムリエ、バーテンダーとしてのキャリアを積んでこれらたオーナーの小林さんがミードに出会ったのは、意外にも「映画」でした。
「甲冑をつけた騎士やバイキングが登場する映画が大好きで。彼らが豪快に飲んでいるお酒がミードだと知り、興味を持ったのが始まりです。また、「ビールの親戚みたい」という記載をどこかで見かけたことがきっかけで更に興味が深まりました。」
そこから探求が始まり、「まだ知っている人が少ないこのお酒の魅力を、自分の店で伝えたい」と、2020年3月にお店をオープン。北欧神話にも登場するミードと、北欧料理を組み合わせた、唯一無二のお店が誕生しました。
オープン当初は元々ミード好きだったり、お酒そのものが好きでいろいろ飲みたい方が多かったようですが、今では「ミードを初めて飲む」という人の方が多くなってきているんだとか。
「Once upon a time」の夏ミードのすゝめ
ではそんな小林さんのお店では、夏にどうやってミードの魅力を引き出すのでしょうか。
夏の一杯目は、キンキンに冷えた「The Last Supper」が人気
まずはシンプルにしっかり冷やしたスパークリングタイプのミードを。
仕事帰りに立ち寄られる方も多いようで、一杯目には、キンキンに冷えた(5度程度)スパークリングタイプがよく注文されるようです。中でも酸っぱさが嬉しい『Last Supper』が大人気。初めてミードを飲む方にも喜んでもらえるようです。
夏はすっきりドライなタイプが良いと思っていましたが、確かに酸っぱさがエネルギーを与えてくれるよな、と納得。お話を聞きながら頭の中はThe Last Supperでいっぱいに。
では北欧料理のお店では、どんな食事と楽しまれているのでしょうか?
北欧お料理のほかに日本食も
「ミードは食中酒として素晴らしいポテンシャルを秘めている」と小林さん。何しろ50種類以上ものミードを提供されているので、その組み合わせは無限大のはず。他のミードとの組み合わせも気になるところですが、今回はANTELOPEのミードとの組み合わせを伺いました。
サーモンのグラーブラックス × Last Supper
北欧の代表的な魚料理に「サーモンのグラーブラックス」というお料理があるそう。
サーモンを塩と砂糖、ディルで一晩寝かせて作り、芳醇なディルの薫りとねっとりとしたサーモンの濃厚な味わいが楽しめるそうで、夏にぴったりの一皿として人気。
鉄分が含まれているナチュラルワインだとで魚の生臭さが出てしまうことがあるそうですが、ミードには鉄分が含まれていないので生臭さは出てこないんだとか。
『Last Supper』のきゅっとした酸味がサーモンのオイリーな旨味とうまく絡み合うことで、手が止まらないペアリングに違いない。想像しただけで食欲を掻き立てられます。
豚の角煮 × DEEPSEEK - Honey -
夏限定のお料理ではないそうですが、人気なのが「豚の角煮」と『DEEPSEEK - Honey -』の組み合わせ。Once upon a timeさんでは豚の角煮と一緒に少しだけDEEPSEEK - Honey - をいれているそう。なんてリッチな楽しみ方なんでしょう!確かに豚の角煮に蜂蜜やお酒を入れるので、合わないこと間違いなしです。
じっくりコトコト煮詰めたジューシーな豚の角煮の肉汁が、『DEEPSEEK - Honey -』の複雑で濃厚な甘さと相まってさらに厚みのある贅沢な味わいが口いっぱいに広がることでしょう。クーラーの効いた部屋で週末にのんびりと試してみたいですね。
今回の取材はオンラインで行ったため、実際には味わえていないのですがどれも聞くだけで味わいの妄想が止まらなくなるものばかり。次は必ずお店に伺い、この感動を実際に「体験」したいと思います。
また下記はANTELOPEのミードではないですが、ミード専門店ならではのミードの楽しみ方を教えていただいたのでご紹介します。どれも夏らしさ満点です◎
番外編①:クラッシュアイスとハーブをいれてカクテル風に
甘口のミードを夏に楽しむなら、提供方法にひと工夫を。通常のロックアイスだとすぐに薄まってしまいますが、細かく砕いたクラッシュアイス(ミストタイプ)をグラス一杯に入れ、ミードを注ぐのがおすすめです。ミントやライムを添えれば、見た目も涼やかで香りも引き立ちますよ。」
まるでモヒートのようなスタイル。これなら濃厚なタイプのミードも、夏仕様のカクテルのように楽しめそうです。
番外編②:バルト三国にちなんだブラゴット風の楽しみかた
バルト三国では〈ブラゴットスタイル(麦芽と蜂蜜を発酵させてつくるスタイル)〉を提供していることが多いそう。それにちなんで、Once upon a timeさんではミードを30ml程度入れた大ジョッキに樽生のビールを注いだオリジナルドリンクを提供中。
カナダの〈Medieval(メディヴァル)〉というミードを使っているそう。アルコール度数16%、蕎麦蜂蜜のミードです。ANTELOPEでも過去にリリースした蕎麦蜂蜜のミードがありますが、もしまだ飲んでいない方がいらっしゃったらビールと混ぜてみてもいいかも。
ビールの世界にいた小林さんならではの発想が面白いですね。おいしくないわけがないのでぜひ1杯目に楽しんでみて。
Once upon a timeで新しいミードの扉をOPEN
お客様にミードの魅力をより深く伝えるため、店内に独自の「ミードソムリエ」資格を設けるなど、人材育成にも力を入れている小林さん。
来年(2026年)には店舗の大規模リニューアルを計画しており、「ANTELOPEのミードをサーバーで繋いで、樽生で提供したい」という嬉しい構想も教えてくださいました。
お料理とのペアリングやカクテルライクな楽しみ方、そして料理への隠し味まで。ミードの楽しみ方の色が皆さんの中でまた一つ増えるきっかけになれると嬉しいです。
まずはキリッと冷えたスパークリングミードから。お近くにお住まいの方や旅行で近くに訪れた方はぜひOnce upon a timeさんでミードの世界に浸ってみてくださいね。
■ Once upon a time
・アクセス:JR船橋駅から徒歩2分(Google map)
・営業時間:11:00~14:30、17:30~22:00
※月火は定休日、日曜日はお昼のみ。
詳しい営業時間はお店のインスタグラムを参考に。