前略、ソムリエな君 - シチリアのネロ・ダヴォラ

ボンジョルノ🇮🇹イタリアワインに触れて今週で4週目。北部のヴェネト州・ピエモンテ州、そして中部のラツィオ州を経て、今週はシチリア島へと足を伸ばしました🦵(こんなところでバカンスを過ごしたい。)

「ワインを勉強するには、飲むのが一番!」ワインの諸先輩方からの意見に(心の中で小躍りしながら)まじめに今回も従います。

今日焦点を当てるのは、「PARVA RES NERO D’AVOLA | パルヴァ・レス・ネロ・ダーヴォラ」というワイン。シチリア島にあるワイナリーが醸したワインで、「ネロ・ダヴォラ」というブドウ品種を100%使用した赤ワイン。イタリア語で"ネロ"は黒という意味・その名の通り、シチリアを代表する黒ブドウ品種です。

ネロ・ダヴォラは、凝縮された甘みのある果実味が感じられるブドウで、ボリューム感のある(フルボディ)ワインが多く生み出されているそう。

ここで私の中に、またいくつかの謎が浮かび上がってきました。

  1. 「ネロ・ダヴォラ」の特徴とされる"凝縮された甘みの果実味"は、どのような条件で生まれるのだろう?

  2. イタリア国内または、他の国で「ネロ・ダヴォラ」と似たようなブドウはあるのか?

  3. 発酵前と発酵後で、ブドウの味わいはどのように変化するんだろう?

今日全ての謎を解明したいところですが、長くなり過ぎてしまいそうなので今日は1番の謎を解明します。来週以降2番・3番と深掘りしていきたいと思います🔍

1.「ネロ・ダヴォラ」の"凝縮された果実味"はどのような条件で生まれるのか?

最近読んだ本に書いてあった「仕事ができる人のコミュニケーションの当たり前」。そこには「まずは言葉を定義する」と書いてありました。理論と実践の往復だと思うので、早速実践してみたいと思います。

"凝縮された果実味"ってなんだろう?
ブドウの中の水分が少なく、糖分やポリフェノールなどの成分が凝縮された状態
・・・

よし、まずは言葉の定義が完了しました。

それでは、いったいこれらの状態はどのような条件で生まれるのでしょうか?

条件には、
1. 気温
2. 日光
3. 湿度
4. 土壌
5. 栽培方法

過去の勉強から、これらが挙げられそうです。
順番に見ていきます。


1. 気温
これに関しては、おそらく温暖な気温なのではないかと思います。

根拠は、先々週に訪れた202 WINE&GROCERYの山下さんとのお話。

「冷涼なところで育ったブドウは、きゅっと引き締まってて酸味が立っている」
「逆に温暖なところで育ったブドウは、甘みと果実味が出やすい」

なので、冷涼なところで育ってるはずのブドウのワインの果実味が強かったら「今年は暖かかったんだねえ」という会話になるそう🍇

つまりは温暖な気候で育ったのではないか?

そう思いながら調べてみると下記のことがわかりました☀️

・シチリア島は、夏は非常に暑い
・2022年の気象データによると、7-8月の平均気温は30度を超える
・冬でも温暖な気候

また昼夜の寒暖差があることも、温度という括りの中では大事な要素。寒暖差が大きいことが果実の凝縮に貢献しているようです。

山登りをイメージしたらわかりますが、そういう場所は標高も高そう📍調べると、標高400-600mの丘陵地で栽培されているようです💡

温暖な気温、どうやら正しいようです。

2. 日光
温暖なことが関係しているのであれば、日光は十分に当たるのが良いのではないでしょうか?

調べてみると、「明るい日差しに恵まれた環境」が好ましいことがわかりました。

ある程度の日光が当たることで、
- 果実に含まれる香気成分量が増える
- 紫外線(UVB)を受けることで、ブドウは防御手段としてフラボノイドを生成。フラボノイドは抗酸化物質としても機能するので、ワインづくりに有益

なのだそうです。

ただ一方で日光が当たりすぎると、人間と同じく「日焼け」してしまうよう。日焼けすることで、水分保持機能が失われたり、干からびてしまうと果汁が出なくなったり、などのワインづくりにおいて致命的な問題が発生します。

※日焼けの直接的には「温度」が関係しているのですが、その温度に直接的、間接的に影響をもたらすものとして「日射量」があげられています。

とはいえ、こちらも推測は当たっていました。

3. 湿度
日本に住んでいるせいか、暖かいところ=湿気があるそんな気がします。
梅雨の時期にカビが生えやすいのを思い出すと、ブドウ栽培にとって湿気って良くないのかな?とも思いつつ、もう一度定義に戻ってみる。

ブドウの中の水分が少なく」と書いていました。なので、きっと乾燥している地域がいいのではないか?

正解は、、乾燥した気候でした!
ではなぜ乾燥しているといいのかについては、確からしい根拠を見つけられなかったのですが、乾燥していることで病気が発生しにくいというメリットはあるようです。

話は少しそれますが、アルゼンチンワインを勉強した時の「マルベック」も乾燥した気候を好んでおり、その結果、果皮の色素がより濃縮されて黒々しくなることも復習メモとして記載しておきます。

4. 土壌
これについては、全く予想がつかず仮説すら立てれなかったので、調べたことをまとめてみます💡
シチリアの土壌は地域によって異なる3つの重要な土壌があり、それぞれでネロ・ダヴォラは育つようです。
===
1. 火山性土壌
前回「ガルガネガ」を勉強した時に学んだこと(復習):
ミネラル分が豊富で水はけが良く、ワインにミネラル感や塩味、複雑な風味を与える。

2. 白い石灰岩
特に南東部で見られる特徴的な土壌。エレガントな味わいのワインを生み出す傾向にあり、この土壌で育つネロ・ダヴォラは、特に洗練された味わいになるんだとか。

3. 粘土質土壌
乾燥した気候だと今度は水分が少なくならないのかな?

湿度パートのところで頭をよぎった問い。それを解決してくれたのが、粘土質土壌でした。この土壌は保水力が高いのが特徴。うまくバランスを取っているんですね。ミネラルが豊富で、塩味のような風味を与える。
===

それぞれの土壌ごとに、微妙に味わいが違うはず。今回飲むワインはどこの土壌なんだろう?それぞれ混ぜたらどんなふうになるんだろう?ワクワクが止まりません。


5. 栽培方法
ここもきちんと学んでこなかったと反省。(今度岡田くん・ゆうすけくんたちと一緒にぶどう畑を見にいきたい🏃‍♀️)

調べると、古代ギリシャ時代から続くとされている、伝統的な仕立て方法「アルベレッロ仕立て」という方法で育てられていることがわかりました。

■特徴
・1本1本の樹を独立させて低く仕立てる(支柱やワイヤー不使用)
・1ヘクタールに約10,000本、植えられる!
・ブドウが低い位置に実るため、収穫は膝をついての作業

■メリット
・風通しが良く、病気になりにくい
・土壌を酷使せず、必要な分だけを吸収するため持続可能
・1本1本の樹と向き合って作業できるため、きめ細かな管理が可能

■大変なところ
・これだけの品質を保つのに、相当な労力が必要!
・年間200日もの作業(垣根仕立ての約4倍!)
・1日に手入れできるのは400-500本だけ

ブドウを育てている人の愛が1つ1つにこもっているような気がして、とても愛おしくなりますね。ワインにするのもいいですが、そのまま食べたり、別の加工品にしてもとっても素敵な味わいになりそうです🍇

まとめ
ネロ・ダヴォロは、下記の条件で育つことにより"凝縮された果実味"を生み出しています。
===
・温暖な気候かつ、昼夜の気温差がある
・十分な日射量がある
・乾燥している
・火山性土壌、白い石灰岩、または粘土質土壌
・「アルベレッロ仕立て」で栽培される。そこには職人の人たちの手間暇、そして愛情がこもっている。
===

シチリア島の自然の恵みと職人たちの愛がこもったブドウ「ネロ・ダヴォロ」。いったいどんな味わいなのか、ワクワクした気持ちでテイスティングに臨みます。

■今週のテイスティングレポート
PARVA RES NERO D’AVOLA | パルヴァ・レス・ネロ・ダーヴォラ(カルーソ・エ・ミニーニ)

このワインをつくっているのは「カルーソ・エ・ミニーニ」。シチリア島マルサラ地区という海沿いに面した地区にあるこのワイナリーは、シチリアの伝統的なワイナリー「カルーソ」と、最新テクノロジーへの投資を行うモダンなワイナリー「ミニーニ」が共同経営しています。


今回テーマにした「ネロ・ダーヴォラ」やはもちろん、国際品種「シラー」まで、幅広いブドウを扱います。「独創性、品格の良さ、優雅さ」をモットーに、伝統を大切にしながらも、現代の技術を取り入れた品質管理を実践。シチリアの土壌や気候を活かしながら、一本一本丁寧にワインを仕上げていく姿勢に、シチリアワインへの深い愛情を感じます。

===

・外観:澄んだルビー色。マルベックや、モンテプルチャーノに比べると、薄い赤色。粘性はほぼなく、若々しい見た目。

・香り:開きすぎず、閉じすぎずバランスが取れている。ラズベリーやカシスぽさもあるが、ちょっぴり乾燥いちじくのようなニュアンスも。白ワインで感じたようなミネラル感も若干いて、まさかと思って調べたら、マルサラ地区の土壌は、上に挙げた3つの選択肢の中では「粘土質土壌」が一番近いようなので、大きくは間違ってなさそう。

・味わい:アタックは軽め。余韻として甘さがふんわり広がるが、飲むと舌の上に渋みが広がる。これがタンニンか!口に含んだときの飲みごたえはあるけれど、余韻はふんわりなので食事の邪魔をしなさそう。

・合わせてみたいお料理:お肉が大きめなビーフシチューや豚の角煮など、ジューシーなお肉を口いっぱいに頬張って、このワインで流して、を繰り返したい。
追記:天然酵母のほのかな甘さと全粒粉の香ばしさと、そしてミードに漬け込んだフルーツの味わいが広がるビスコッティ from thetaとの相性がとても良かったです。ビスコッティの甘さが引き立ち、ワインの渋さは消える。ナイスマリアージュ。

・価格:1,650円(税込)/750ml
お手頃で嬉しい*日常使いしたい。


結局長くなってしまいました。が、来週もよろしくお願いします*

 

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