ANTELOPEでミードを作り始めたときに、どうしてもクラフトビールのニュアンスを取り入れてみたくて醸造したのがこのThe Last Supper。
採用したのはサワーエールのテクニック。
すっぱーと笑えるようなミードがあったら面白いし、いい風を吹かせられると思って作ってもう2年以上が立ちました。改めまして、The Last SupperのBrewer's Noteです。
〈Renaissance→Modern〉
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を思い浮かべてほしい、と言われると何が思い浮かぶでしょうか。
モナリザ、キリストの洗礼、最後の晩餐
くらいでしょうか。
最後の晩餐の名前を冠したThe Last Supperはとても高貴な意味合いがありそうですが、実は真逆。Supperはローマ字読みすると、スッパー。そう酸っぱいお酒だからSupper。
ルネサンスを代表する画家もモダンな世界でこうなるとはさすがに予想できなかったのではないでしょうか。ただ、発酵方法としてはとても原始的なものを採用していたり、逆にすごい近代的な作り方をしてみたりと工夫が色々。今は現代科学の恩恵に預かり、作っていますがまたルネサンス期に使われていたような醸造テクニックを採用する可能性もあります。
時代によって味が変わるような、そんなお酒かもしれません。
〈Tasting Note〉
すこし濁ったイエロー。酸味の強い香りがすでに立ち香からあり、パッションフルーツを想起させ後から蜂蜜のニュアンスが登ってきます。口に含むと締まりよい酸味と苦味、あとから蜂蜜の甘みを感じる。白ワインやサワービールがお好きな方にぜひ楽しんでみていただきたい。
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スタイル:Sour Mead
ABV(アルコール度数):10%
炭酸:あり
内容量:500ml
原材料: 蜂蜜、大麦麦芽
甘さ(10段階):5 (Semi-Sweet)
飲み頃温度:冷やして(4-8℃)
〈Mead making〉
お酒を酸っぱくさせる方法は大きく分けて2つ。乳酸を出すか、酢酸を出すか。そしてほとんどは乳酸を出す手法が取られています。なぜなら後者は基本的に意図せず起きちゃうものだから。
僕たちは乳酸を出す方法を乳酸菌に頼るか、ラカンセア酵母に頼るかです。乳酸菌は字の如く単糖を乳酸にかえてくれてアルコール発酵はあんまりしてくれません。ラカンセア酵母は最初に乳酸をバーっと出してから、アルコール発酵をしてくれますし、超ニッチなところでいうとクロスコンタミネーションをしないという優れた利点があります。
ここはあまりにニッチなので割愛しますが、僕たちはいまラカンセア酵母を使用しているというわけです。
このラカンセア酵母はミードとの相性が非常に良くて、発酵初期に単糖が多いほど乳酸が活発に出るとされています。ビールではマルトースという二糖類が多く、なかなか期待する酸味を出すのが難しいです。しかし、蜂蜜と水だけで作ったミードは92%以上の糖分が単糖なのでラカンセア酵母がとっても酸を出してくれます。
それにこの酵母はいい匂いがします👏
なんか気づいたらニッチな話になっていました。すごく好きなミードです。よろしくお願いいたします!