Brewer's Note 〈R2R7〉


初めて周年ミードというものを作りました。

R2R7。

読み方は「あーるつーあーるせぶん」
 
周年でお酒を作ることがほとんどなかったANTELOPEです。
なんかセコい感じがしてて、そういうモノづくりやだなと尖ってたのもあるのですが。でも少しずつ応援してくれる人が増えてきたときに、考え方が変わってきました。
 
〈挑戦を応援してくれる人が用意してくれた堂々と挑戦する場〉
 
それが周年というおめでたい日なのではないかと。
そう解釈できたので、挑戦することにしました。
 
ずってやってみたかった挑戦があって、それが「麦もホップも使わずにベルギービールのような満足感を作る」
 
ということ。ビールの世界には圧倒的な満足感を出し続けるつくり手が数多くいます。その一つにベルギーの多種多様なスタイルがあって、中でもwitと呼ばれるスタイルは愛される人を絶やしません。
 
小麦を使った独特の風味とボディー、酸味に加えてオレンジピールとコリアンダーの醸すスパイシーなニュアンス。低アルコールで気持ちいいガス。
 
これらをミードで醸してみせよう、という挑戦。
 
選んだのはバジル。それも4種類のバジル。甘い香りがするもの、古臭いホップのような香りと渋みがあるもの、レモンのような香りがするもの、バナナのような香りがするもの、それぞれ素敵な特徴があります。
それら全てを浜松のBasil Houseさんから直接現場で教えてもらい、チョイスしました。
 
無農薬で育ったバジルは力強く、酵母の香りに負けない強さがありました。
 
酵母はミックスカルチャー仕様で、2つの酵母を同時にピッチしました。
複雑な要素を絡ませながら、少し厚めのボディーを低アルコールで出してくれるといいなと思っています。


〈野洲→浜松〉

今回のバジル農家「バジルハウス」の敦さんを紹介してくれたのはシオミードでおなじみ、養紡屋の塩見さんでした。ちょうどシオミードの熟成樽に漬け込むハーブを探していて、その相談もありました。

バジルハウスさんを紹介していただける前は、今回の制作でもオレンジピールと北海道のコリアンダーシードを使おうかと思っていたのですが。

敦さんの情熱や、品種の違うバジルの魅力が僕達を掻き立てて止まなくて。
気づいたら「いろんなバジルをミックスさせて、それぞれホップや、オレンジピール、コリアンダー、酵母の役割をさせてみよう!」と意味のわからないガッツが湧いてました。

バジルハウスさんは地球規模で農業を考え、バジル栽培の随所にもその片鱗が見えます。交雑したバジルの魅力や多様性の強調。バジル一つ取っても自分の人生を振り返るような、そんな瞬間があります。

送られてきた4種類のバジルはどれも個性的で力強くて。一人で生きていけるよ、と言ってるかのような気がしました。


〈Tasting Note〉
度数は6%。立ち上がりにホーリーバジルのシナモンやバニラを彷彿とさせる甘い香り。レモンピールのような凛とした清涼感が追ってきて、飲み口は軽め。小麦のビールを発酵させたような軽いバナナ感と柔らかい酸味。
僕達なりのベルギービールオマージュ。

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スタイル:Sparkling Metheglyn w/ Vasils
ABV(アルコール度数):6%
炭酸:有り
内容量:500ml
原材料: ミャンマー蜂蜜、バジル(カプーアトュルシー、バナ、オーヤ、レモン)
甘さ(10段階):2(Dry)
飲み頃温度:よく冷やして(4-8℃)
ペアリング:フライドポテト、塩気のあるパン、アクアパッツァ

〈Mead making〉
4種類のバジルをそれぞれ異なるタイミングでお茶にして、蜂蜜を投入。酵母はセゾン酵母とラカンセア酵母をほぼ1対1で同時に投入。主発酵終了後、熱処理をせずにガス付け、瓶詰め。


〈Label〉
From Nari

5周年を迎えるANTELOPEへ。
これまでANTELOPEに出会い、つながり、支えていただいた沢山の方に、感謝の気持ちを込めてラベルを描きました。

ANTELOPEで過ごした日々を思い出すと、私達の周りにはいつも頼れる仲間がいたのだと気付かされます。
積み上げてきた、これまでの日々はいつしか大きく素敵な花束になっていました。

holy basil の花言葉の「祝福」

初めての方も、

長いお付き合いな方も、

手にとって溢れる想いを大事にしてほしいから。

4種類のバジルの贅沢なミード。ぜひラベルと一緒にお楽しみいただけたらと思います。

Blessing for you.