今回のレシピを担当した岡田です。
ANTELOPEにJoinしたのが5年前。
大学を卒業してぬるっとミード醸造の現場に入りました。
当時は醸造学を専攻していたわけでも酒造りの経験があったわけでもなく、ミード??何それといった状態。
そんな僕が初めて自分のレシピとしてリリースしたのが Ginger Cat。
最初はヤザワさんに助けてもらいながらのレシピ制作だったと思う。それからGinger Cat2、Ginger Cat3と作り続けてきた。
毎年自分なりに挑戦的なレシピにしてきたつもりで、ただ今回のテーマは少し違います。レシピを考えている中でたまたま初代Ginger Catを飲む機会がありました。なんとそれがめちゃくちゃ美味しかった。
2年の時を経てさらに美味しくなっていた。これはお酒特有の感動かも知れません。
今回はそんな思い入れのある初代Ginger Catのレシピをもとにポテンシャルのあるミードを目指しました。
〈Shimanto→Aomori→Shiga〉
今年もお世話になったのは山﨑生姜農園さん。
文字通り右も左も分からず四国で生姜を探して彷徨っていた時に快く迎えてくださり、それから4年続けて生姜を使わせていただいてます。
そんな山﨑さんの新生姜に加えて、今回はカシスを使ってみることにしました。
数年前に一度連絡させてもらったりと、いつかカシスのミードを作ってみたいと思っていたこともあり念願のカシスを見に青森のはやし農園さんまで行ってきました。
はやしさんは青森カシスの会の会長さん。通称カシス王。
そんな通り名とは裏腹にはやしさんはめちゃくちゃ丁寧でお茶目な人。
「今年は大不作なんですよ」
例年に比べ雨が全く降らなかったことでカシスの生育が進まなかった。
また気温の上昇により年々栽培が難しくなっているという。
そんな状況でもミードを面白がってくれて大切なカシスを分けていただいた。
実際のカシスというものは想像していたよりももっと清涼感のある味わいでした。
甘さは控えめでかなり酸っぱい。
カシオレで想像するような味わいではなかったんです。
収穫は一粒ずつ手作業で行う。
体験させてもらったのですがカシスの木が低いのでかなり腰にくる。
1時間真剣にやっても1kgもとれない。
こんなに大変なのに林さんは自家製のカシスジュースを飲んで、初めて飲んだかのようないいリアクションをする。
毎年飲んでいるはずなのにそれでも最高の反応ができる姿は生産者の鏡だなと思った。
〈Tasting Note〉
少し明るいワインレッド。酵母の特徴上、少し濁っているように見える。香りには生姜とカシスの果実味を感じる。飲み口は重みがあるが、甘すぎるわけではない。重ための肉料理とも合いそうだ。
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スタイル:Metheglin
ABV(アルコール度数):10%
炭酸:あり
内容量:500ml
原材料: 蜂蜜、生姜、カシス
甘さ(10段階):3 (Semi Sweet)
飲み頃温度:しっかり冷やして(4-8℃)
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〈Mead making〉
生姜を小さめにカットし、蜂蜜と一緒に煮込む。そこに粗く潰したカシスを加えて30分程度煮込み続ける。そうすると生姜の辛味が抽出され、カシスも自然と崩れて真っ赤な液体になっていく。
今回は『ポー』でも使用したラレマン社のW15酵母を使用。特徴としては通常の酵母よりもグリセロールの生成量が多く、口当たりを重くしてくれる。同時に少しアルコール感を強めに感じるようなエステルも出る。なので発酵温度を18度にして、ボディ感を高めつつ刺激感を柔らげることを狙った。
2週間ほど発酵させた後、ベントナイト(液体を清澄させるための泥)を投入しクリアな液体を目指した。その後さらに2週間程度低温で安定させ火入れにより発酵を止めた。