初めてペールエールを飲んだとき、初めてアメリカのミードを飲んだとき、どちらもすごい衝撃でした。同じくらい衝撃だったのが、初めてポートワインを飲んだときでした。
こんなお酒作ってみたい。
憧れに近いものでしたが、今回は自分の中でも手触り感のある手応えのようなものを感じています。熟成のタイミングを見極めるのにとても迷いましたが、瓶詰め後のテイスティングで、心臓が温もりを帯びたの感じました。量が少なく、熟成にも向いてるため、知識豊富な素晴らしい酒販店さん限定にしようかと思っています。
〈Chemical→Natural〉
お酒作りは化学。化学だけ。そう強く刷り込まれたのがビール醸造文化でした。今でも正しいと思っている部分もありますが、憧れやロマンという意味では既に僕の中でもNaturalという言葉の魅力がChemicalを上回ってしまいました。
今回使用したブドウは無農薬栽培されたPAPA◯FARMさんのデラウェア。
なるべくそのまま。なるべく土、木から離れた状態で仕込んでみたいと思い収穫後は速攻で工場に戻り、潰して蜂蜜を敷いたタンクの上でマセラシオン・カルボニックさせました。
「どうなるんだろうな?美味しくなったらいいな」
本来、お酒作りというのは願うのではなく、願うのではなく努力を尽くし結果を待て、というスタンスだと思っていました。ただ、やるだけやったら、もう願うしかないのがこういう作りの魅力です。酵母のピッチもしないんですから。
〈Tasting Note〉
艶やかな色味、熟成の長いポートのような厚みある香りに心が踊ります。
ミードだからこそできる発酵の妙を感じていてただけるような作品で、ケースの中で長期の熟成を取るのにも非常に向いてます。リリース時点でも素晴らしいポテンシャルを感じざるを得ません。
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スタイル:Barrel Aged Pyment
ABV(アルコール度数):15%
炭酸:なし
内容量:500ml
原材料: ブドウ、蜂蜜
甘さ(10段階):9(Very-Sweet)
飲み頃温度:セラー(8-12℃)
〈Mead making〉
短い時間で果実味を出してみたいくて、マセラシオン・カルボニックを採用することにしました。Pyment/パイメントというスタイルはブドウと蜂蜜を使用したミードのスタイルです。今回は加水を一切したくなかったので、蜂蜜とブドウ果汁をタンクの中で混ぜる必要がありました。
そこで、全房のブドウをタンクに入れる前に蜂蜜を敷いてみました。発酵で出るガスで混ざってくれたらいいな、無理なら撹拌しようと。主発酵が終わった頃に液体をバレルに移送して、ブドウを圧搾しました。
貯蔵していく中で色味に深みが出てきて、味わいもリッチになってきました。醸造していて震える瞬間を感じれたことに感謝です。
〈Naming & Design〉
名前はANTELOPEとPAPA◯FARMの頭文字から取りました。PAPAじゃなくてFARMの頭文字を取ろうと思ったら話は違っただろうけど、今回はキレイな文字に。
デザインはPAPA◯FARMさんのお子さんが描いてくれました。素敵な絵が素敵なまんまで映えるように意識しました。自由と才能が存分に発揮された絵のパワーがラベルからも感じ取ってもらえると嬉しいです。