ミードを素敵に楽しめるお店を紹介させて頂く企画。
「ミードの歩き方」
分からない土地を旅するときに頼りにしちゃう本のように、僕たちも聞き馴染みのないお酒の楽しみ方を伝えられるような、そんな企画にしていきたいと思います。ミードの楽しみ方だけじゃなく、お店の素晴らしさや、ペアリングの素敵な例を紹介していきたいと思います。
今日は、滋賀県の「食といなりたか翔」さん。野洲駅から2駅先の近江八幡駅から、近江鉄道に揺られること約20分。近江鉄道のすべての列車がとおるという駅、「八日市駅」に到着します。
近江鉄道ではICカードが使えなくて、切符のみ。ちょっと不便だと一瞬思ったものの時代の転換点に生きるものとして、昔の文化は大切にすべきなのでは、と思い撮影。
日常感あふれる住宅街に立つビルの中にある「食といなりたか翔」。同じビルには、古本屋さんやアロマのお店、ギャラリースペースが入居しており、さまざまなカルチャーが集まります。
@inari_takasho
1. Access
近江鉄道・八日市駅から歩くこと約5分。住宅街の中に立つビルの1階にお店があります。目印はカネイビルという文字とビルの図面の絵。食といなりたか翔は、1Fの2番。
2. History
2021年11月22日にオープンした、食といなりたか翔。店名に「いなり」と入っているとおり、いなりがお店の看板メニュー。店主の高木翔平さんは、大阪、京都、東京で、料理人としてホテルで修行を重ね、独立されました。
ANTELOPEとの出会いは、雑誌で見かけたことがきっかけ。同じ滋賀のよしみで試してみたところ、味わいを気に入ってくださり、2022年の春頃からお付き合いがスタート。
そんな高木さんのご実家はお米の兼業農家。いつかは自分も継ぎたい、その思いから、「お米を使って何かつくれないか?」と考えた高木さん。
まず思いついたのは、おにぎり屋さんだったそうですが、すでにお店がたくさんあるので断念。米を起点に、さまざま考えた結果、いなり寿司の専門店を開くことに。
いなりとの特別な思い出があるのかな?と聞いたところ「特にないんです。むしろお米はあまり食べてこなかったほど!」と高木さん。
それでもいなりについてお話を聞くと、高木さんのいなりへの情熱が伺えます。
つくってきたいなりの種類は、なんと40種類ほど。中身の具材を変えることで無限大の味わいが楽しめるそうなんです。
「プルコギを入れた韓国風いなり」や、「チーズリゾットベーコンいなり」、「肉巻きいなり」などなど、「いなり」のイメージを覆すクリエイティブな世界が広がります。
3. Food & Drink
看板メニューのいなりは、毎日置いているそうですがなくなり次第終了。(残念ながら来店時には、なくなってしまっていました。またリベンジします。)
そのほかのメニューは、人気のものは残しつつ、1週間ごとに仕入れ状況によって変えているそう。
最近の推しは、キャロットラペ。オレンジジュースを煮詰めてタイムを入れたソースとニンジンをあえて作られています。酸味がキュッときいているので、前菜やお口直しにぴったり。
高木さんお手製の手書きメニューに味を感じます。
飲みものは日本酒、ワイン、そしてミードをラインナップ。お酒はあえてメニュー表をつくらず、お客さんとの会話を通して提案されているそう。
何軒目にいらっしゃってるのか、どんな味わいのお酒が好きなのか、今食べてる料理と合うものはなにか、などそれぞれの状況に合わせるスタイル。
もちろん自分で選ぶ楽しさもありますが、プロの方にお勧めしていただく心地よさは飲食店に行く醍醐味。リピーターの方が8割くらいを占めているそうで、きっと皆さん高木さんのお勧めの虜なのでしょう。
4. How to “Walk”
└ANTELOPEの人気・季節限定ミード「Join us -day2」とのおすすめペアリングは、「スパイスカリフラワーカレーチーズ」。ターメリックでつけたカリフラワーに、キーマカレーとチーズがONした、濃厚で贅沢なおつまみ。でもご飯じゃなくてカリフラワーなところが、ヘルシーで嬉しい。
辛い食事とは甘いお酒を合わせるのが高木さん流。ピリッとした心地よい辛さを、Join usの優しい甘みが包みこみ、口の中がまろやかになる感覚が忘れられない。まるでアジアにトリップしたような気分になり、何度でも試したくなる素敵なペアリングでした。
定番の「What Churchill Said」には、ふろふき大根、そしてほうれん草の胡麻和えがベストだそう。「Jog week」にはヒラメのカルパッチョが◎訪れた際には、あいにく品切れのため体験できなかったのですが、皆さんが行かれる際にはぜひ注文してみてください。
5. Open
・営業時間:11:30-22:00(金・土・祝前日は24:00まで)
・定休日:月曜日+α
詳しい営業時間はお店のインスタグラムを参考に。
店内は全16席。キッチンとホールスタッフを高木さん1人で担当されているそうで、営業中は大忙し。将来はさらに、つくり手になりたい高木さん。米農家を継ぎ、自分でつくったお米と近隣の畑でつくった素材で料理を提供することが夢だそうです。
そんな高木さんの心に灯るのは青い炎。優しい笑顔と穏やかな外見の中に秘めた、強く熱い意志を感じざるを得ませんでした。きっと高木さんに話すと「そんなものはないですよ」と謙遜されそうですが、そんなところが高木さんの魅力です。
来店した時は明るかった外も帰る頃には真っ暗に。まるでタイムトリップをしたかのような非日常感を味わいに、また足を運びたくなるお店です。
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ちょっとずつミードの”歩き方”を伝えられたら幸いです。次はどのお店に歩こかな。