蜂蜜には花の種類によってポリフェノールの量が異なることが知られている。それらの蜂蜜で作ったミードは抗酸化作用が豊富に期待できそうで、赤ワインのように一部の健康効果を期待できる可能性がありそうです。
実際のところはどうなのでしょうか?
そもそもポリフェノールがもとらす健康効果とは?
ポリフェノールはビタミンC同様に強い抗酸化作用があります。構造上、近くにいるふらふらしている酸素をgetしちゃう感じ。体内には取り込んだ酸素の一部が活性酸素と呼ばれる状態でふらつくようです。
これらはストレスや過度な運動、紫外線の浴び過ぎで発生する可能性があり、過度に増えると体や脳に損傷を与えるとされています。
酸化、とは物質の構造を一部変えることであり、この効果を利用した殺菌剤なども豊富に醸造所では使われています。コロナの時にはやった次亜塩素酸などもこれですね。
この酸化を変わりにポリフェノールが受けてくれるので、健康的だよね?ということですね。身代わり的な。飲酒がストレスを減らしてれるのであれば抗酸化作用も減りそうですが、一長一短なようです。
でもお酒にポリフェノールが有意に含まれていれば、美味しいお酒をたしなみながら抗酸化作用もgetできる"可能性"があります。
ミードに含まれるポリフェノール量
蜂蜜の種類によっても大きくポリフェノール量が変わるとされているミード。研究結果も少ないのですが、2020年の論文では「そばの蜂蜜から作ったミード」が300ポイントほどのポリフェノールが含まれいていると示しています。
どれくらいなのかというと、赤ワインは平均的に1,500ポイントほどのポリフェノールを含んでおり、高いものだと3,000ポイント近くなることもあるようです。
蜂蜜の中でもポリフェノール量が非常に高いそばの蜂蜜を使ったミードでも平均的なワインの20%ほどしかポリフェノール量が含まれておりません。
しかし、白ワインの平均は100-500ポイントほどのようです。
そばの蜂蜜や栗の蜂蜜、マヌカハニーのようにポリフェノール含有量が多い蜂蜜を大量に使用したミードであれば白ワイン程度のポリフェノールを接種できる可能性があります。
補足:どんなミードがポリフェノールが高そうか人目で分かるのか?
色味でいえば、濃い色味のほうが蜂蜜自身もポリフェノールが多く、ミードの色味が濃いことは蜂蜜の使用料が多い可能性もあります。
色の濃さも一つの要素として重要かもしれません。
ミードの作り方でポリフェノール量は変わるのか?
ポリフェノールは抗酸化作用があり、酸化すると周りのポリフェノールとくっついて液体の底に沈むようになります。
ですのでミードの作りにおいても過度な酸化は避けたほうが良さそうです。
特に熱処理は非常に大きな壁で、酸化を進める大きな要因と考えることができます。そのため、一見「非熱処理のミード作り」のほうがポリフェノールが豊富に感じます。
しかし、これまでの研究では決して「非熱処理のほうがポリフェノールが有意に残る」とはされていません。
どうしてでしょうか?
蜂蜜が持つ「ポリフェノール分解酵素の失活」
蜂蜜にはポリフェノールオキシダーゼというポリフェノール分解酵素が生きていることが分かっています。これらの酵素は熱処理によって不活性化することが分かっています。
厳密には判断されていませんが、一部の研究[2017]では「非熱処理」よりも「軽度な熱処理60℃」で蜂蜜を処理したほうがポリフェノール量が高いことを示しています。
100℃で処理した蜂蜜で作ったミードでも大きくポリフェノール量が落ちなかったこともあり、ポリフェノールオキシダーゼを不活性化することのほうが最終的な商品にポリフェノールを多く残せる可能性があります。
まとめ
ミードに抗酸化作用としての健康効果があるかどうかは断言できない。
しかし、ポリフェノール量の高い蜂蜜を使用したミード、なおかつ蜂蜜の使用量も多いタイプであれば白ワインほどのポリフェノールを含む可能性が十分ある。
作り方としては蜂蜜を60℃で低温殺菌し、蜂蜜がもつポリフェノールオキシダーゼを不活性化させたほうが最終的にミードに多くのポリフェノールを残せる可能性が示唆されている。
あくまで蜂蜜と水だけで作ったミードの話である。
ミードには副原料を混ぜる文化が豊富にあり、ブドウや林檎、その他でもアントシアニンを豊富に含むベリーを投入したミードは赤ワイン同等のポリフェノールを含む可能性もある。