フルーツを使ったアメリカ産ミードの比重を測ってみたお話

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!セナです!
2021年はミードというお酒に出会えたおかげで、お酒ライフをより楽しめた1年でした!皆さんはどんな1年でしたか?

ANTELOPEでは早速2022年の抱負を発表しあったのですが、「発信力を鍛える!」という声がたくさんあがりました!(パチパチ👏)
私も今年はミードのことや会社のこと、普段考えていることなどをもっと発信していきたいと思っています。「発信力」つよつよのチームにしていきたいと思うので今年もどうぞよろしくお願いします💪


なぜフルーツを使ったミード?

今回のジャーナルでは、今アメリカで市販されているミードを紹介していきたいと思います!その中でもフルーツを副原材料にしたミードにフォーカスします。
その理由は、醸造担当やざわがフルーツを使ったミードづくりに悩んでいたから。フルーツを使ってミードをつくるのは、スタンダードなミードの時と比べて難易度が高い。何が難しいのかというと、表現したい甘さを出すことです。

少し専門的な話になりますが、糖分を発酵させてアルコールを生み出すことがお酒づくりの基本。スタンダードなミードの場合は、蜂蜜の糖分を利用してお酒をつくりますが、そこにフルーツが入ると、フルーツの糖分のことも考えないといけないので単純に2倍の労力が必要になります。

これからもフルーツ系のミードづくりに挑戦していく上で、他社の製品がいったいどんな甘さを出しているのかを知れば、やざわの悩みも少しばかり解決されるのでは!そう思い、アメリカではポピュラーなフルーツ系ミードの味わいを調査することにしました!

やざわとセナ

 

味だけでなく最終比重にも注目!

「えっ?最終比重って?」

そんな声が聞こえてきそうなので解説します。まず比重とは、水の密度を1(1.000)として水溶液の密度を比較した値のこと。1よりも大きい場合は水よりも重く、小さい場合は水よりも軽い液体です。

お酒づくりの際には発酵させる前と後に比重を測るのですが、発酵前の比重を初期比重、発酵完了後の比重を最終比重と呼びます。この2つの比重の値は、お酒に欠かせないアルコール度数の目安を測るのに重要な数値です。つまりお酒づくりにおいて比重はとても重要な要素といえます

【比重の計測時の注意点】
・目盛りを読む際は、表面張力で盛り上がった部分ではなく周りの水平面を見ましょう!
・液体の温度は20度で。

【水の場合】
比重:1.000

水の比重

 

【コーラの場合】
比重:1.040

コーラの比重

 

このことから、コーラは水よりも密度が大きいことがわかります。水以外に0.040分の糖分などの成分が含まれているということ。コーラの甘さは想像していただけると思いますので、この数値を踏まえてミードの甘さについて見ていきましょう!

 

オレンジ、りんご、バナナを使用した3種類のミードを飲みました!

今回飲んだミードは以下の3種類。

ミード3種類

 

左から、
1.オレンジを使用したミード:『Blood Orange Libation』(Feisty Brood Meadery)
2. りんごを使用したミード:『CYSER』(The San Francisco Mead Company)
3. バナナを使用したミード:『BANANAS FOSTER FOREVER』(Crafted Artisan Meadery)
です!(『』内は商品名、()内はミーダリー名)

それでは早速紹介していきますね!


1. 『Blood Orange Libation』(Feisty Brood Meadery)

Blood Orange Libation

 

原材料:オレンジの花の蜂蜜、ブラッドオレンジ
アルコール度数:13.5%
容量:750ml
価格:20 USD
炭酸:なし
最終比重:1.030(30と読む)
温度:20度
感じた甘み:★★★☆☆

 

Blood Orange Libation

 

オレンジ色の蜂の姿が大胆に描かれている「Blood Orange Libation」。アメリカ・オハイオ州にあるミーダリー『Feisty Brood Meadery』のミードです。2021年のNational Honey BoardのMead Crafters Competition Winners部門にてSilver Medalを受賞していました!オレンジを副原材料としているので、スタイルはメロメール。

コルク栓をあけると、熟成しきったオレンジの香りが鼻にズンと入ってきます。瓶に入っているときは濁っているように見えましたが、グラスに注ぐと透き通った綺麗な薄オレンジ色でした。

 

Blood Orange Libation

 

オレンジの甘さと渋さが、喉の奥にガツンとくる迫力満点の味でした。ANTELOPEの夏みかんのミードと似たような味わいがすると思って飲みましたが、炭酸が入っていなかったためか、より重く感じました。

ブルーチーズが合いそうだな、と思い一緒に食べてみたところ相性抜群。ミードがブルーチーズの臭みを包み込んでくれて、さらにはミード自体の渋さもブルーチーズによって緩和され、エンドレスリピートしてしまいました。

 

Blood Orange Libation

 

最終比重は30。実際の甘さはコーラよりも控えめに感じましたが、数値で見るとそう遠くはないのが不思議。アルコールが入っているかいないかでも違いがあるのでしょうか?

 

2. 『CYSER』(The San Francisco Mead Company)

CYSER(サイザー)

 

原材料:蜂蜜、有機りんご(ソノマ産)
アルコール度数:14%
容量:750ml
価格:29.99 USD
炭酸:あり
最終比重:1.033(33と読む)
温度:20度
感じた甘み:★★★☆☆

 

CYSER(サイザー)

 

りんごをイメージした赤色と、ミーダリー・商品名のみが書かれたスタイリッシュなデザインの「CYSER」。アメリカ・カリフォルニア州にあるミーダリー『The San Francisco Mead Company』のミードです。このミーダリーはCLOSEしたのですが、先日私が訪問したオハイオ州にある「Brother Drake Meadery」の姉妹店だったそう。そのため、残った在庫をオハイオ州で販売しているようです。CYSER(サイザー)とはりんごを使用したミードの総称。

コルク栓をあけると、濃厚なりんごの香りが鼻いっぱいに広がります。グラスに注ぐとまるで濃厚なりんごジュースのよう。

 

CYSER(サイザー)

 

サイザーによくあると言われている渋みはなく、スッと喉まで届きました。喉に届いた後は、喉の中であったか〜くなってりんごの甘みが口の中が後追いでやってきました!りんごの最も贅沢な楽しみ方は、サイザーなのではと思うほど多幸感に浸れました。

この日の夕食が豚の角煮だったのでペアリングして見たところ、マッチ度100%。サイザーの甘みがより引き立ち、食事がいつもよりも楽しくなりました。

 

CYSER(サイザー)の比重

 

最終比重は33。先に飲んだオレンジのミードで感じた甘さのインパクトと似た感じだったので納得の数値。

 

3. 『BANANAS FOSTER FOREVER』(Crafted Artisan Meadery)

BANANAS FOSTER FOREVER

 

原材料:蜂蜜、濃縮還元バナナジュース、砂糖、コーヒービーンズ、バニラビーンズ、
    メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム
アルコール度数:6%
容量:500ml
価格:9.99 USD
炭酸:あり
最終比重:1.034(34と読む)
温度:20度
感じた甘み:★★★★★

 

BANANAS FOSTER FOREVER

 

バナナと蜂が手を繋いでいる、とても可愛らしいデザインの「BANANAS FOSTER FOREVER」。アメリカ・オハイオ州にあるミーダリー『Crafted Artisan Meadery』のミードです。2017年にはMazer Cup2017 Session Mead – Sweet部門にて銀賞を受賞していました!(アルコール度数が7.5%以下のミードなので、Session Mead(セッションミード)に分類されます。)

王冠キャップをあけて、瓶に鼻を近づけると熟したバナナの甘い香りが。グラスに注ぐと炭酸が入っているので泡立ちます。綺麗な黄金色なので見た目はビールのようです。

 

BANANAS FOSTER FOREVER

 

気になる味は、

「あ、甘ぁぁい・・・!」

とにかく、とても甘く感じました。香りと同じく熟したバナナの味に加えて、ほのかなバニラエッセンスと甘いコーヒーの風味が。炭酸が入っているので多少すっきりはしているものの、炭酸が抜けてしまうとまるでジュースのようになります。食事と合わせるよりも、デザートワインのような感覚で飲むのが良いと思いました。柿ピーやピリ辛のポテチと一緒に飲むと無限ループになる気がします!

 

BANANAS FOSTER FOREVERの比重

 

また興味深いのが最終比重。先に飲んだオレンジのミードよりも、サイザーよりも、数倍甘く感じたにもかかわらず比重の値はほぼ変わりませんでした。つまり同程度の糖分が残っているはず。唯一異なるのはアルコール度数、その差はそれぞれ約8%!つまりアルコール度数が高いほど実際の糖分量よりも甘さを感じにくいということなんですね。うーん、勉強になります!!

 

3つのミードを飲み終えて

どのミードも使用しているフルーツのもつ香り・甘さがなくなることなく、むしろしっかり生きていたのが印象的でした。蜂蜜の甘さを全く感じなかったのも面白かったです。どのミードも美味しかったですが、今回のMYベストフルーツ系ミードは、「サイザー」です!理由は下記2つ。
・雑味が全くなくりんごの旨味が凝縮されていたところ
・和食にも合わせられる
今後は他のミーダリーのサイザーにも挑戦してみたいです✊

 

やざわより

セナさん、お疲れさまでした!初めての比重測定、その数値から読み取れそうな色んなことを矢継ぎ早に喋ってしまいましたが終始楽しそうにやってくれてよかったです!👐
比重の測定は「甘み」のヒントになるので、アメリカの色んなミードの謎を解き明かしてもらってANTELOPEの成長に繋がると最高ですよね。
みなさんも本当に簡単な道具1つでお酒の「甘み」に関するヒントを比重測定から得られますので、興味がある方は挑戦してみて下さい👐やり方はセナさんが丁寧に教えてくれると思いますので(放り投げ笑)

 

さいごに

余談ですがそれぞれのミードは、世界70カ国以上の食材を販売している『JUNGLE JIM'S』というインターナショナルマーケットで購入しました。ミードコーナーがあるなんて、ミードファンとしては嬉しいばかり!

ミードの陳列棚

 

アメリカではミーダリーの件数は年々増加していて、再来年までには200件以上のミーダリーが新規OPENするとの報道も。現在あるミーダリーもまだまだ紹介しきれていないので、これからもどんどん発掘していきたいと思います。今回初めて比重計で最終比重を測定したのですが、自分が感じている甘さを論理的に理解できてとても楽しかったです!次回以降も比重を測ってみたいと思います♪

比重計を持ったセナ

 

それではまた別の記事で👋

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