〈Brewer's Note〉蜂蜜茶醸酒

富士山麓でつくられた和紅茶を仕込み水につかったミードができました。

茶葉の選定は東京目黒“茶割”の監修で行い、茶畑の見学、仕込みも一貫して一緒に行いました。富士山まる茂茶園で育つやぶきた品種から、五代目本多茂兵衛さんの手によって、蜂蜜茶醸酒のために仕上げていただいた、火入れの異なる2種の紅茶をふんだんに使用しました。

紅茶の力強い香りと蜂蜜由来の完熟したマンゴーや桃のような香りが複雑に絡み合った匂いはいちごのような華やかさと甘さを感じさせます。
紅茶のしっかりとした骨格は大人な渋みを帯びていて、フルボディーな赤ワインを彷彿とさせてくれます。

香り以上に味わいに和を感じるような、そんなミードです。


〈目黒⇒富士山〉

 

その日は雨が降っていました。

目黒の"茶割"スタッフ一同と茂兵衛さんの育ててる茶葉農園を見てきました。加工場もしっかりと目に焼き付けてきました。茶割のみなさんはもちろん、茂兵衛さんのお茶に対する愛情というか、もう確執と言ってもいいくらいの深い情を仕草や話の内容の節々に感じました。

すこし歩くと違う品種が育つ茶畑に、自分の知識の無さが情けなくなるような瞬間もありましたが、素直に分からないと言ってくれる方が嬉しいという茂兵衛さん。

いろんなことがあったんだろうなあ、って雨に打たれながら考えていたらカメラが少しバグっちゃいました。


〈Tasting Note〉
度数は11%、濁りの深い茶色に少しとろみのある液体。甘美な香りに負けない芯のある渋み。2種の茶葉が醸す香りの違いが蜂蜜の香りと混ざります。フィニッシュは比較的ドライで食中酒としてのポテンシャルを感じます。

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スタイル:Black Tea Mead
ABV(アルコール度数): 11%
炭酸:あり
内容量:500ml
原材料: 蜂蜜(ミャンマー産ひまわり)、紅茶(五代目茂兵衛より)
甘さ(10段階):4(Semi-dry)
飲み頃温度:しっかり冷やして(4-8℃)
ペアリング:茶割の本日のおすすめに任せて

〈Mead making〉
紅茶を濃く抽出。抽出後に蜂蜜を混ぜて、主発酵へ。タンクへの紅茶の浸漬は一切せずに紅茶のポテンシャルを十分に感じる仕込みに努めました。
主発酵が終わってから貯酒を取り、火入れ後に瓶詰め。

〈Naming〉
茶割はオリジナルの茶醸酒を既に作っていたので、僕らはなにかと。蜂蜜茶醸酒じゃないかと。
ラベルはお茶の繊細な味わいを表現したデザイン。夏から秋へ。葉も緑からオレンジへ。移り変わりが多い9月。どこに軸があるか分からない、抽象的なラベルです。 果てしなくどこまでも行けそうな道。自分を作ってきた実態のない過去。
迷ったらまたここに戻ってこよう。自分の感覚に素直になれる、そんな一本をイメージしています。