ホップを2回ドライホップしたミードです。フィニッシュにバニラビーンズを使いました。ドライホップの仕方やバニラビーンズの使い方は古典的ですが、ミードに施すことが面白いと思って採用してみました。
〈Brewery→Computer〉
ビール醸造の歴史は長く、常に最先端の科学を取り入れることも大きな特徴であるし、それを消費者も楽しみに待ちわびている。そんなビールの醸造は常にコンピューターの力を借りて成長してきたように思える。
最近はAIの成長が甚だしく、大脳機能の拡張とすら言われている。プロ棋士がAIと共に研究を重ねるように、醸造家も既にAIの力を借りてレシピを組むことも多くなるのだろう。そうは分かりつつも、どうしても自分がこれまで勉強してきたもので闘ってみたいという若い感性が捨てられなかった。そこで今回はかなり古典的なミルクシェイクIPAを参考にして、ミードを作ってみた。きっとAIに言わせるともっと良いレシピがかけるのもしれないけど、まずは自分で精一杯やれるだけやってみた。
でも、AIにとてもリスペクトはあるので、中庸としてラベルのデザインをAIに頼んでみました。とても僕の完成では理解には及びませんが、きっと「正解」に近い何かを提案されてるような気もします。人間とAIによる1本です。
〈Tasting Note〉
シトラの甘い匂いとルプリン感が満載で、青い匂いも少し残留。口に含むとバニラの匂いが抜けてきて、ミード由来の酸も少し感じる。アルコール由来の質感と、甘味。
蜂蜜:ミャンマー産蜂蜜
フルーツ&ハーブ:ホップ(シトラ)
発酵:主発酵終了後に火入れ。ホップを2回に分けてドライホップして、バニラを投入。
アルコール: 12%
pH: 3.90
残糖: 42.5g/L
内容量:500ml
トリプルIPAのような香り、苦味は少なく、微かな酸味と抜けるバニラ香。ペアリングはリッチな味わいのカモやポークソテーと合わせてみたい。
〈Mead making〉
ホップのことをずっと勉強していた21歳の頃の気持ちを捨てきれず、いつかミードにホップを使ってみたいと思っていました。僕たちは冷蔵庫を持っていないので、酸化するリスクを考えてなるべく気温の低い時期にリリースできるように挑戦してみました。
ドライホップを2回施していますが、ビールの世界ではホップの品種を変えたり、投入時のイーストの動きの違いだったりを利用してそれぞれの個性を出します。しかし、僕たちは1回目と2回目でホップも変えなければ、イーストの動き方も変わっていないタイミングでの投入でした。
シンプルに香りを強めたかっただけのダブルドライホップです。そう、本当は1回で十分だと思っていたのですが、やはりタンクでやると想定しないことがたくさん起きて、結果2回の投入に。シトラを採用したのは、シトラの独特な甘い匂いが冬っぽくていいなと思ってたからですが、少し弱かったのでバニラを使って香りの層を作ることにしました。
結果的にアロマとテイストに差が出て、面白い1本になりました。アルコール度数も高いので、IPAと同じ感覚で飲むと酔いますが、ゆっくりと飲んでみてください。