「今年の久美子はどうですか?」
そんな会話ができるのもモノ作りの世界にいる人たちだけだな、なんて思いながら今年の久美子を瓶詰めしました。
久美子というのはブルーベリーを使ったミードの名前。そう、久美子さんが作ったブルーベリーを使ったミードの名前だ。2022年の久美子はANTELOPEで初めて挑戦した自然発酵のミード。残糖が残り、ミードらしい仕上がりになったものの面白さと課題感をチームに残してくれた作品でした。
2023年の久美子は穏やかで、有機酸もあり、ドライな仕上がりです。線の細い味わいの中に芯のある強さを感じます。久美子さんのブルーベリーに感謝です。
〈Yasu→Yasu〉
久美子はANTELOPEにとってとても大きな意味を残したミードです。ローカルに生きる大切さを教えてくれ、科学的なインプットだけじゃない酒作りの奥行きを教えてくれたのもこのミードが最初でした。それもこれも久美子さん含むLakes Farmさんの皆さまが育てる作物ありきのものでした。
芯のある考えで作られた作品には、芯が宿る。
これはとてもすごい偉人が言ってそうな言葉ですが、いま僕が思った一言です。でも本当にそのとおりだなと思っています。23年の久美子さんのブルーベリーは時間をかけていろんなミーティングをして、収穫させていただきました。
上手に発酵してくれよ、と最後は神と久美子さんに祈るしかできない僕たちですが良くなってくれたと思います。
〈Tasting Note〉
滑らかな赤い色合い、グラスに垂れる足の長さは少しだけ短く、強い樽香と鼻から抜けていくのはブルーベリーと蜂蜜の香り。飲んだことあるようで、実はあんまりないような、いいスタイルです。瓶でもっと熟成をとっても良いかもしれませんが、まずは今のベストなタイミングで詰めました。
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スタイル:Barrel Aged Melomel
ABV(アルコール度数):13%
炭酸:なし
内容量:500ml
原材料: 蜂蜜、ブルーベリー(野洲産)
甘さ(10段階):3(Semi-Dry)
飲み頃温度:しっかり冷やして(8-12℃)
〈Mead making〉
ブルーベリーを摘み、汚れだけ少し洗って、潰して蜂蜜を水を混ぜて、気温に合わせてタンクで寝かすだけです。酵母は使いません。久美子さんのブルーベリーを信じ、環境を信じ、祈るだけ。それしかしていません。発酵が少し落ち着いたらバレルに入れて熟成を取ります。
本当はアメリカのミーダリー同様にバックスウィート(発酵後に蜂蜜を投入して糖度を調整すること)をする予定でしたが、自然発酵できれいなニュアンスになったことを活かしてみたくて、このままの作りで行きました。
亜硫酸も栄養剤も一切使用していない原始的な作りです。'24で最後になってしまう久美子さんのブルーベリー作りですが、こちらはどうなるか。今から楽しみです。