ボンジョルノ🇮🇹 今週からは「イタリアワイン」の勉強を始めます🇮🇹 イタリアといえば、大好きなジョジョの第5部の舞台。
聖地巡礼をしている気分で頑張ろう!と、ワクワクしながら教本を広げましたが、種類の多さと覚えなきゃいけない用語の多さに圧倒されてしまいました。まずはプロに話を聞こう!と、名古屋のワインショップ「ハウディ」さんに足を運びました🏃♀️
店員の山中さんにまず最初に飲むのにおすすめの白ワイン、と提案いただいたのが「ソアーヴェ クラシッコ サン ミケーレ」でした。
中程度の価格帯で、水炊きなどの和食にも合わせやすく食中酒にぴったりとのこと。山中さんが何度も「クラシッコ」という言葉を連呼されていたのが印象的ですが、言葉の意味を聞き損ねてしまいました。連呼されていたということは、./と感じました。
またこのワインに100%使われているというブドウ「ガルガネガ」についても興味津々。細そうすぎというよりかは、強そうすぎるこのブドウはこれまでの勉強では出会ったことのない新しい品種でした。
今回は、この気になる2つのキーワードを通して、イタリアワインの世界を深掘りしていきたいと思います。
1. 「クラシッコ」とは?
重要な意味があるのではないか?この推測は合っていたようです。
「クラシッコ」とはイタリア語で、綴りは"Classico"。
特定のワイン産地において、伝統的かつ歴史的に重要な中心エリアで生産されたワインを指します。その歴史はローマ時代にまで遡るものも。法律できちんと定められた言葉で、その産地の中でも特に優れたワインを作り続けてきたものが「クラシッコ」と名乗ることができます。
「クラシッコ」がつくワインの例としては、「ソアーヴェ・クラシッコ」のほかに「キャンティ」もあります。
「キャンティ」は、イタリア中部・トスカーナ州で広く生産されている赤ワインで、イタリアワインとして世界的に有名です。その中で「キャンティ クラシッコ」を名乗れるのは、フィレンツェとシエナの間に位置する伝統的なエリアでつくられたものだけです。
このような潮流が生まれた背景には、ソアーヴェとキャンティが広い地域で大量生産された結果、品質が低下したという共通の課題がありました。それぞれ「クラシッコ」という名称をつけることで、伝統的な高品質エリアを保護したのです。
引用元:https://www.viticcio.com/chianti-classico/differences-between-chianti-and-chianti-classico/
ソアーヴェ・クラシッコを醸造する「イナマ」のオーナー、ステファノ・イナマ氏は、ソアーヴェの現状について、次のように語っています。
「本物のソアーヴェ・クラシッコの生産量は残念ながら限られています。平野部で作られる本来のソアーヴェではないワインまでもソアーヴェと名乗れるようにしてしまったのは、大きな政治的な過ちでした」
(以下、英語原文)
“The real Soave Classico is not a lot, unfortunately the bad Soave which is not classic and grows around on the planes and that was a very big political mistake to allow people to call Soave what it originally Soave is not even if it comes from the same variety.”
“Classico”ではないSoaveが流通することで、評価が損なわれたことに対する強い義憤と、Soave Classicoに対する情熱がとても伝わってきました。山中さんが「クラシッコ」にこだわっていた理由も分かった気がしました。
また別の機会に「イナマ」が醸すソアーヴェ・クラシッコを近いうちに飲んでみたいと思います!
▶︎イナマ氏のインタビューを含む動画はこちらです。ぜひcheckしてみてください。
https://youtu.be/Pocm3CO7bag?si=wyIernxOIzIk5QU2
2. 「ガルガネガ」ってどんなブドウ?
引用元:http://www.soavestyle.jp/grape/index.html
強そうな響きの名前に惹かれた「ガルガネガ(Garganega)」は、ギリシャが起源とされている白ブドウ。現在はイタリア北部のヴェネト州で主に栽培されています。「ソアーヴェ」の主役になるブドウで、黄色味がかった麦わら色が特徴の、ソフトな味わいのワインに仕上がります。
前回のアルゼンチン編で学んだ「マルベック」の黒々しさとは対をなすような、薄い色が特徴的。ワインの色もこのブドウから連想できる色で納得です。
そんな「ソアーヴェ」には、「ソアーヴェ クラシッコ」という伝統的で高品質なワインがあることがわかりました。「クラシッコ」がついていない「ソアーヴェ」に使われるブドウは平野部で育つものも含まれ、逆に「クラシッコ」は伝統的な丘陵地帯(ソアーヴェ村とモンテフォルテ・ダルポーネ周辺)で育ったものでつくります。
それぞれの違いを見ていきましょう✍️
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1. 平野部のガルガネガ
■土壌の特徴
・平野部の土壌は肥沃で、粘土や堆積物が多く含まれている
・水分を保持しやすいため、ブドウが多く収穫できる一方で、凝縮感や複雑さに欠けることがある
■気候条件
・夏場は暑く湿度が高いことが多く、病害リスクが高まる場合がある
・温暖な環境によりブドウが早熟しやすく、酸味が低めになる傾向がある
■ワインのスタイル
・フルーティーでシンプルなスタイルが多い
・大量生産向けで、デイリーワインとして親しまれることが一般的
2. 丘陵部のガルガネガ
■土壌の特徴
・火山性土壌や石灰質土壌
■気候条件
・丘陵地帯では昼夜の温度差が大きく、この寒暖差がブドウに酸味とアロマを与える
・標高の影響で涼しい風を受けるため、ブドウがゆっくりと成熟し、バランスの取れた味わいになる
■ワインのスタイル
・ミネラル感豊かで複雑な味わいを持つ
・「ソアーヴェ・クラシコ」のような高品質なワインが生まれる
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火山性土壌や石灰質土壌だと、平野部に比べて何が違うのか?気になったのでもう少し深掘りしてみます。
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・火山性土壌:ミネラル分が豊富で水はけが良い。ミネラル感や塩味、複雑な風味をワインに与えてくれる
・石灰質土壌:同じくミネラル分が豊富で水はけが良い。酸味を保ち、エレガントでフレッシュな味わいを引き出してくれる
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この2つの土壌特性が組み合わさることで、バランスの取れた高品質なワインとなるのです。土と気候などの条件が組み合わさることで、唯一無二の味わいが生まれる奇跡に飲み手としては感謝しかありません。
ちなみに「ガルガネガ」というインパクトのある名前の由来も気になったので調べてみました。どうやら、はっきりとしたことはわからないよう。食とワインの歴史学者、ジェレミー・パルゼン氏のブログ「Do Bianchi」によると、2つの説があるそうです。
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1. 地名
イタリアのプーリア州フォッジャ県にある地域「ガルガーノ(Gargano)」を指す方言的表現が転じたもの
2. 歴史的背景
「ギリシャ起源」とされるブドウにしばしば、「グレコ(Greco)」や、「ガルカニコ(Grecanico)」などの名がつけられたことが背景にある
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どちらの説もあり得そうですが、皆さんはどちらだと思いますか?
私はギリシャ原産という点を考えると、2つ目の説が有力かなと思います!もし知っている方がいたらまた教えてください✍️
それではこれまで学んだことを踏まえて、いよいよガルガネガ100%のワイン「ソアーヴェ クラシッコ サン ミケーレ 2022」をテイスティングしていきます!
■今週のテイスティングレポート
ソアーヴェ クラシッコ サン ミケーレ 2022 | カ・ルガーテ
今回テイスティングしたのは、カ・ルガーテ(Ca' Rugate)というワイナリーのワイン。イタリア北東部ヴェネト州に位置する家族経営のワイナリーです。1900年代初頭にブドウ栽培を開始し、1986年に正式に「カ・ルガーテ」としてスタート。カ(Ca’)は”Casa=家”、Rugateは”ルガーテの丘”のことを指しており、ワイナリー名は「ルガーテの丘の家」という意味。
ガンベロロッソ(Gambero Rosso)という、イタリアのワインと食文化における最も権威あるメディアブランド(ミシュランみたいなものですね!)において最高賞受賞という実績も。
引用元:https://www.carugate.it/ca-rugate
ワインのラベルに書かれている赤い屋根の建物は、「カ・ルガーテ」の建物でしょうか。周り一面のぶどう畑が眩しいですね!!
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・外観:澄んだ薄いレモンイエローで、一般的に麦わら色(黄色と橙色を混ぜた明るい色)と表現される色合い。テクスチャは軽やかです。
・香り:控えめで上品な印象。花束に顔を埋めた時のような幸福感があり、白桃のような香りと、かすかなミントのような清涼感、そして若々しさを感じます。「レモンのような香り」という表現も見られましたが、個人的には感じませんでした。
・味わい:軽めでドライな印象。なめらかな口当たりで飲みやすく、穏やかな苦み、引き締まった酸味と収斂性、そして舌の中央に明確な塩味を感じます。余韻には苦みとアルコール感が残ります。上で学んだ、火山性・石灰質土壌の特徴が確かに感じられ、今日のコラムで調べたことの答え合わせができました。
・価格:2,750円(税込)/750ml
購入したお店は、愛と冒険の酒屋「ハウディ」。1922年創業の老舗で、現在は4代目・奥畑彰規さんを中心に運営されています。店名の「ハウディ」には「やぁ、こんにちは!」という意味が。確かに、スタッフの皆さんの気さくな雰囲気からは、そんな温かい声が聞こえてきそう。「アメリカとアルゼンチンのワインの勉強を終えました!」と話すと、奥畑さんが楽しそうに問題を出してくださって、ワイン談義に花が咲きました。実は今回、赤ワインもおすすめいただいたので、それはまた来週以降にご紹介させていただきますね。奥畑さん、山中さんありがとうございました!