おはようございます!今日はところ変わって、カナダワインの世界に進んでみようと思います。と思い立ち、ワインショップに行ったところ
「カナダワインはあいにく置いてなくて。置きたいとは思っているのですが...」と店員さん。
地球温暖化の影響ですでに温暖な地域はより暑く、冷涼だった地域は暖かくなったり。また、年ごとの降雨量の変化も関係することで、それぞれの品種にとって最適だった場所がそうではなくなりつつあり、ブドウが育たなかった地域でもブドウの栽培が盛んになっているそう。そこで注目されている場所の代表例がカナダなんだそう。
「どうしよう、カナダのワインを飲んでみたいのに!!」
実はこのコラム、国名をあいうえお順に進めています。しかしカナダの次がわからず困っていると、
「カナダに近い地域のワインがあります!」と店員さん。
それはカナダにほど近いエリア、ナイアガラの滝近くのアメリカ・ニューヨーク州のワインでした。ブドウの種類は「リースリング」とのこと。かつてオハイオ州に住んでいた頃、車で行った思い出の地。何かのご縁と思い、購入してみることにしました。
今日はそのテイスティングレポートから。
■今週のテイスティングレポート
クラシック ドライ リースリング 2020 | フォージ セラーズ
・外観:澄んでいて輝きのあるレモンイエロー。濃すぎず淡すぎない色み。さらっとしてそうな印象ですが、ワインの足が見えました。
→他の人はどう書いている?
「ミディアムボディ」とされており、これは中程度の粘性と言えるようです。
・香り:開いていて力強い香り。洋梨、アプリコットのような香りの他に、花束に顔を埋めたようなもわっとした香りを感じました。あとは鼻にツンと突き刺さるような、鋭利な香りも。
→他の人はどう書いている?
ジャスミンのような白い花のニュアンス、リースリング特有のペトロール香がする。
・味わい:思っていたより軽くない。先週のオーストリアの「ツヴァイゲルト」と「ソーヴィニヨン・ブラン」の赤ワインの方が軽かった。香りとは裏腹に丸い感覚が口の中で広がります。一緒に飲んだ人は酸味をすごく感じると言っていましたが、私はバランスの良さを感じました。確かに酸味もあるのですが、まろやかな甘みがありました。
→他の人はどう書いている?
高い酸味、柑橘類、青リンゴ、白桃のような果実味が広がる。ミネラル感や塩味が味わいに奥行きを与えている。
今週から実際のところ、も覚書のために書いてみました!!いつまで経っても自分の感覚でしか話せなかったり、特に香りは嗅いだことのないものも多いためより学びを深めたく書いてみました✍️
・価格:4,730円(税込)/750ml
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フォージ・セラーズは、ニューヨーク州の「フィンガー・レイクス」地域の中でも、特にセネカ・レイクの南東岸に位置する、ピノ・ノワールとリースリングに特化した小規模ワイナリー。
フィンガーレイクスの名の通り、確かに指のように細長い湖が縦に並んでいますね。
2011年に、フランス・ローヌ地方ジゴンダスの名門ワイナリー「シャトー・ド・サン・コム」14代目当主ルイ・バリュオール氏と、アメリカ人のリチャード・レイニー氏が共同で設立しました。
ー「ジゴンダス」、「シャトー・ド・サン・コム」とは?
「ジゴンダス」
約2,000年前、古代ローマ時代からワインづくりが行われてきた歴史ある土地。グルナッシュを主体に、シラーやムールヴェードルをブレンドした赤ワインが有名。日照時間が長く、夏は暑く乾燥し、冬は穏やかで雨が少ないのが特徴。この気候は、ブドウの成熟を促し、力強く複雑な味わいのワインを生み出しています。
「シャトー・ド・サン・コム」
ここジゴンダスで500年以上の歴史を持つ、家族経営のワイナリーです。畑の中心には11〜12世紀に建てられた歴史的なサン・コム・チャペルがあり、それがワイナリー名の由来にもなっています。
彼らは、1970年代という比較的早い時期から、オーガニック農法を導入し、現在は全ての畑でオーガニック認証を取得しています。野生酵母による全房発酵、ノンフィルターでの瓶詰めなど、自然な造りを重視することで、テロワールの個性を最大限に引き出したワインを生産し続けています。
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そんな歴史と伝統あるシャトーの当主であるルイ・バリュオール氏が、なぜ異国の地であるフィンガー・レイクスで新たな挑戦を決意したのでしょうか?
それは、彼が長年抱いていた「ゼロからワイナリーを立ち上げる」という夢を実現するためでした。サン・コムは代々受け継がれてきたワイナリーであり、既に確立されたスタイルがあります。しかし、ルイ氏は自身の新たなビジョンと情熱を注ぎ込める場所を求めていました。
"As a person who is part of an old French wine family, I know what the weight of traditions means. Trying to develop a new estate in the Finger Lakes represents a completely different perspective, a different exercise in a different environment. But at deep, is it that different? Maybe not that different, as the feeling is the same, the wish of proper understanding is the same and the final goal is the same: express in a wine the soul of a place. It is a nice “human adventure,” as well as an achievement at every step that we climb, simply because we began this project with almost nothing but clear and strong ideas."
「伝統あるフランスのワイン家の一員として、伝統の重みは理解しています。しかし、フィンガー・レイクスでゼロからワイナリーを立ち上げることは、私にとって全く異なる挑戦でした。それでも、ワインの中にその土地の魂を表現することという根本的な目標は同じです。それは素晴らしい『人間的な冒険』であり、私たちが上る一歩一歩が達成感です。なぜなら、私たちはこのプロジェクトを、明確で強いアイデア以外ほとんど何もないところから始めたからです。」
- Forge Cellars公式HPより
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なんとルイ氏、「シャトー・ド・サン・コム」の14代目当主は担いつつ、「フォージ・セラーズ」のトップとしての仕事もしておられるのです。
どうやらジゴンダスとフィンガーレイクスは収穫時期や作業のタイミングが異なるため、ルイ氏はそれぞれの重要な時期に合わせて現地入りしているんだとか。
ラベルにも「Harvest Date」が記されており、2020/10/14-28の期間に摘んだブドウのようです。時期までラベルに書いてるのは初めてみた気がしました!
『任務は遂行する』『部下も守る』
両方をこなす男”ブチャラティ”を彷彿とさせるとってもクールガイだなと思いました。
“you make better wine in a cool climate”
Forbesのインタビューの中で語るように彼は、ジゴンダスのような温暖な地域ではなく涼しい気候を追い求めていました。そのために彼は世界中を旅し、南米、オーストラリア、南アフリカ、そしてフランスの他の地域を巡ったそうです。
その中で、フィンガー・レイクスの気候が彼の理想だったのです。夏は比較的暖かいものの、冬は非常に寒く、湖の「湖効果(こすいこうか)」によって気温の急変や霜からブドウが守られています。
冷涼な気候のため、リースリングやカベルネ・フランなど寒さに強い品種が主流で、酸味がしっかりした、エレガントでフレッシュなワインが特徴とされます。
湖効果とは?
夏は湖水が熱を蓄え、冬になるとその熱をゆっくり放出します。そのため、湖の近くでは冬でも気温が急激に下がりにくく、霜が発生しにくくなります。つまり、湖が「天然のヒーター」のような役割を果たし、周囲の畑やブドウを寒さや霜から守ってくれるのです。
(琵琶湖付近でも起こっているのか?と調べてみると、起こっているとのことでしたが本当かな。滋賀県出身の人に話を聞いてみよう!)
さて話が長くなってしまいました!本当はリースリングについて触れたかったのですが、ついルイさんの魅力に惚れ込んでしまいました。リースリングはドイツを最大の生産国とするブドウ品種。昔は甘口というイメージでしたが、現在はドライなものの方が多いんだとか。次週、深掘りしてみたいと思います!